チリーズ(Chiliz)とエンジン(Enjin)との提携から見るNFTの将来性を徹底考察

チリーズがNFTを発行しているエンジン(Enjin/ENJ)との提携を発表しました。ですがNFTの市場はまだ未成熟で、将来性を計り切れないところがあります。今回は私が考えているNFTの将来性について解説します。

バイナンスのNFT

現状のNFTは、ダップスゲームのアイテムキャラクターが主流です。しかしゲームとは関係の無い収集品もいくつか存在します。そのひとつがバイナンスのNFTです。最近では2020年の新年祝いとして発行されています。
マーケットを覗くと、2020年の新年祝いは約0.7ドル(約76円)前後で取引されています。ただし400ドル(約44,000円)以上で取引成立したNFTもありました。

バイエルンミュンヘンのNFT

サッカー関連のNFTも既に登場しています。バイエルンミュンヘンはストライキング(Stryking)と提携し、NFTの販売を始めました。最近では24選手のNFTをまとめたバンドルが133WETH(約380万円)で販売されています。関連のあるNFTをひとまとめにして取引できるというところが特徴です。

ナイキの特許申請

 スポーツメーカーのナイキもシューズ関連のデジタル資産を特許申請しています。NFTとは書かれていませんが、「ERC721またはERC1155を付与する」と説明があります。NFTをイメージして問題ないでしょう
この申請は大きく紐づけ改造製造の3要素で構成されています。なおナイキが申請している内容は、以下のURLで確認できます。
http://patft.uspto.gov/netacgi/nph-Parser?Sect1=PTO2&Sect2=HITOFF&p=1&u=%2Fnetahtml%2FPTO%2Fsearch-bool.html&r=1&f=G&l=50&co1=AND&d=PTXT&s1=Nike&s2=Crypto&OS=Nike+AND+Crypto&RS=Nike+AND+Crypto

紐づけ

執筆段階の話ですが、シューズの市場規模はかなり大きくなっています。しかし本物を真似した偽物も少なくありません。このような時の対策として、本当の所有者をブロックチェーンで管理しようというのがナイキの考えです。
申請している特許内容には、ブロックチェーンによる管理に加えてデジタルシューズ暗号トークンような収集品が生成されるようです。言い換えると「収集品の持ち主が本物のシューズの持ち主」ということになります。

交配

クリプトキティーズクリプ豚のような育成系のゲームの魅力のひとつが、「どのような子孫をつくりだすか」です。子孫に親の優秀あるいは希少な形質を遺伝させることで、更に優秀あるいは希少な子孫を生み出します。
ナイキはシューズでも同じようなことをやろうとしているようです。シューズの右半分をCロナウドモデル、左半分をエンバペモデルといった変則モデルをつくり出すことも可能になるでしょう。なお申請文面でも本当にbreed(交配)と表現してあります。

製造

改造の段階で活躍するのは、デジタルシューズや暗号トークンです。ナイキの申請している特許では、改造でつくりだされたデジタルモデルを基に実在する靴としてカスタムメイドすることまで踏み込んでいます。

まとめ

執筆段階のNFTは、ゲーム利用あるいは収集品のどちらかに用途が限定されています。しかしナイキの特許が認可されれば、NFTを使って新モデルの設計→製造をすることも可能になるでしょう。将来的にはシューズに限らずフィギュアのような玩具、F1のような車両、博物館のような建造物の製造さえも視野に入ってきます。
これからはNFT自体の製造に留まらず、NFTを使ってどのようなことをするかに注目が集まるだろうと予想しています。