町田ゼルビアの名称変更問題から考える未来のスポーツビジネスの在り方

先日FC町田ゼルビアのファンミーティングが開催されました。事前に親会社であるサイバーエージェント(以下CA)が商標登録の出願していたことが判明しており、ファンミーティングでは当初からチーム名マスコットについての話になると予想されていました。
ファンミーティングの様子はYouTube上でライブ配信され、執筆時点ではまだ視聴可能です。見て貰えばわかりますが、CAの藤田社長とファンの意見の間には大きな隔たりがありました。今回は大きな隔たりと私なりの解決法をまとめてみました。
なお私はゼルビアファンではありません。外部からの一意見として受け止めていただければと思っています。

意見の食い違う原因

スポーツビジネスで重要なのは、「何を売るか」だと思っています。今回のファンミーティングを聞くとCAは、「トーキョーブランドを売る」という意思が垣間見えました。しかしゼルビアファンからの質問からは、東京都民ではなく町田市民という独自のアイデンティティを感じました。「町田ブランドを売って欲しい」のだと思います。

双方納得できる着地地点

私の考える着地地点は、これまでのスポーツ業界になかった新しいサービスという付加価値を付けてCAが町田ブランドを売り出すことです。CAはRAGEというeスポーツのイベントも開催しており、こういった新サービスの実験やノウハウの蓄積はサッカーにもeスポーツにも流用出来ます。
また海外メディアにも注目されるようなサービスであれば、町田の名前はそのまま浸透していきます。実際Jリーグで発生した珍ゴールなどは海外メディアでも取り上げられることもあるので、サービスそのものが特集される可能性も低くないはずです。

新しいサービスとは

ファンミーティングでの意思確認

今回のファンミーティングで最も違和感を覚えたところは、拍手の大きさで票をとったところです。このような方法では、ファンミーティングに参加できなかった人の意思が反映されません。過半数を関係者で埋めておくということも出来るので、不信感を煽ることになります。そこでファン投票を導入してみてはどうでしょうか。

ファン投票の必要性

Jリーグ全体でも月間MVPベストゴールの選出を行っています。ただこれらは公式が選出しているものであり、ファンの意見は反映されていません。ファンが選ぶ月間MVPやベストゴールがあってもいいはずです。
リーグ全体でファン投票を行おうとすると、ファンの多いチームがどうしても有利になるでしょう。しかし町田ゼルビアだけに限定すれば、有利不利も少なくなると思われます。
またファン投票は、今回のようなファンミーティングで意思確認を行うときにも使えます。なにより試合をテレビ観戦していたファンやネットでファンミーティングに参加するファンも参加できます。これが最大の利点です。

投票のアプリを使用

投票というと現在ではSNSを使った投票が一般的です。しかしこれらの投票方法は、1人が複数のアカウントを使うなどで数の水増しが用意という弱点があります。そこでCA子会社ウィンチケットの競輪・オートレースのネット投票技術を応用して、ファン投票アプリを開発してみてはどうでしょう。
あるいはエンゲートソシオスドットコムなどの他社のアプリを使うという方法もあります。エンゲートはギフティング(投げ銭)アプリなので厳密には投票ではありませんが応用できるはずです。
エンゲート:https://engate.jp/
ソシオスドットコム:https://www.socios.com/

無料ではなく有料のネット投票

投票というと、国会議員や都道府県知事の選挙のような無料のものやグッズ販売の抱き合わせ商品をイメージする人もいると思います。ここで私の言う投票は単品で販売される有料のものです。
また月間MVPやベストゴールなどの表彰および表彰者へのインタビューもファンの手で行ってみてはどうかと思います。ファンの話を聞くために選手が時間をとってくれれば、ファンにとってお金では買えない経験になるはずです。
なおファンの手による表彰やインタビューは、ソシオスドットコムでも提案されているアイディアです。なので私が求める最良の形は、ソシオスドットコムとの提携です。

まとめ

私の意見を一言でまとめると、「会場に来ていないファンも巻き込む」ということです。現在スポーツビジネスは、スタジアムに来るファンを増やすことに注力しています。しかしリーグ戦でホームスタジアムを使う回数は全体の半分にしか過ぎません。敵地まで遠征してくれるコアファンも居ますが、入場料やスタジアム内での飲食代は相手の収入です。
これに対して会場に来ていないファンにも提供できる有料サービスが確立できれば、ホーム開催であってもアウェイ開催であっても一定の収入が見込めます。ホーム開催であっても何らかの都合でスタジアムに行けないファンもサービスを利用してくれるでしょう。
有料ネット投票は、eスポーツも含めて今後のスポーツビジネスの在り方を左右する可能性を秘めていると思います。